縄文時代の時期区分 東村山市史資料編考古p144
1東村山周辺の縄文時代遺跡
縄文時代の時期区分縄文文化は,約1万3000~1万年前の晩氷期から温暖な完新世へと
移り変わるクローバルな気候変動に対応する形で,日本列島に形成された。そして,約2400
年前に水稲農耕と金属器の使用を本格的に開始する弥生時代までの約8000~1万年間という
長くつづく年代が縄文時代である。この非常に長い時代を体系的にとらえるのに有効な考古
学的研究が縄文土器の編年研究である。縄文土器の編年研究とは,縄文土器のもつ多様な特
徴から共通性を型式として分類し,その変遷を明らかにする型式学的研究法と,遺跡におい
て,地層の年代が上層のものは下層のものよりも新しい堆積という地質学上の原則である
「地層累重(るいじゅう)の法則」にもとついて,出土する考古資料の新旧関係を把握する層位学的研究法
によって,土器の新旧関係,すなわち相対的な年代関係を明らかにし,これを年代的・地域
的に再編成して体系化する考古学の基礎的研究法である。こうした編年研究と放射性炭素年
代測定法(14C年代測定法)やフィッション・トラック法熱ルミネッセンス法といった,
理化学的年代測定法からえられた年代と組み合わせにより、縄文土器は、草創期(約1万
3000~1万年前)、早期(約1万~6000年前)、前期(約6000~5000年前)、中期(約5000~
4000年前)、後期(約4000~3000年前)、晩期(約3000~2400年前)の6期に区分される。
ところで,この6期区分は、縄文時代の成立を土器の出現をもってその開始とする区分法
であり、広く支持されている。しかし、前節でもくわしく述べているとおり、早期以降の遺
跡から出土する道具の組み合わせと異なり、「草創期」に属する遺跡から出土する土器群に
は旧石器時代の系統の石器がともなうことや、漁携活動、定住生活の本格化が早期撚糸文系
土器群の時期からはじまることなとから、縄文時代の成立を早期からと考え、縄文時代を早
期、前期、中期、後期、晩期の5期に区分する意見もあって、歴史学的な時代区分、時期区
分としては、理にかなっている。そこで、本書でも、後者の時代区分にのっとり、縄文時代
を5期に区分している(表6)。
武蔵野台地の縄文時代遺跡
縄文時代の遺跡のあり方は,旧石器時代の遊動的な生活様式にかなった遺跡のあり方とは大きく異なる。すなわち,
自然環境の変化に対応した生業活動
の変化,その変化を支える道具の発明,そしてその基盤となる定住生活による集落の形成が
あげられよう。このような遺跡の質的変化は,遺跡のなかにおける遺構や遺物の出土状況,
内容分布状況などから把握できる。これらの分析を個々の遺跡で積み重ねていくことで,
個々の遺跡が包括する内容の共通点または相違点が明確になり,たとえぽ集落としての拠点
的な遺跡であったり,作業場的な遺跡であったりと,遺跡の性格づけが可能となる。こうし